書評

働かざるもの、飢えるべからず。

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『働かざるもの、飢えるべからず。だれのものでもない社会で、だれもが自由に生きる―社会システム2.0』小飼弾著(サンガ刊)を出版社より献本いただきました。

2年前に単行本でも読ませていただいたのですが、自分が成長したからなのか、時勢のためなのか、今のほうがよりスムーズに読むことができました。

本書では集中した富を再配分する社会システムについて書かれています。

具体的には「社会相続(=相続税100%)」を財源とした「ベーシック・インカム(働いている人も働いてない人にも最低限の生活は保障するという制度)」というアイディアが提案されています。

現在の日本は物質的には豊かなのに関わらず、必要な人にお金が行き渡っていない血行不良の状態になっています。

私達がよりよい物をより安くと求めれば求めるほど富は一極集中しやすくなります。

また、ビジネス、あるいは個人の成功を考えると努力だけでは説明がつけられない運の要素が増えてきました。

そのために、努力が報われない人も含めて、誰もが安心して生死を全うできる、お金を使える制度が必要になるのです。

最低保障があれば、自分の好きな職業に就き、ビジネスにチャレンジすることもできます。その中からまた、明日の成功者が生まれてくることになり、社会がより豊かになるでしょう。

高齢者から高齢者へとお金が相続されるのではなく、お金が足りない若い世代や子育て世代にお金が行き渡るようになります。

「社会は人のためにあるのであり、人が社会のためにあるのではない」

現行の社会システムはお金のない我々(若い人)にとってとてもきびしいものです。

2011年度で厚生年金保険料は16.412%、健康保険料は9.48%(全国健康保険協会 東京)。労使折半で約13%が天引きになっています。社会保険料は累進課税ではなくフラット。消費税も逆進性が働きますし、消費していかなければならない世代にとって不利です。

⇒ http://blog.livedoor.jp/dankogai/archives/51308484.html

我々(若い人)が、欲しい物を我慢して、ただでさえ少ない手取りから30年、40年先の老後のために貯めこまなければならない社会システムが変わって欲しいと心から願います。