書評

年金について怒れる書籍

複雑かつ難しい専門用語で「不公平さ」を覆い隠す年金の真相を暴く良書です。一問一答形式で分かりやすく選挙の前にぜひ読みたい書籍です。

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現在の年金制度は生まれ年によって支給される金額が違うという全く不公平な制度です。

1965年生まれ以降の世代は、平均寿命まで生きたとしても、支払った保険料総額よりも受け取る年金額が少ない「損」な制度となっています。145−146頁

厚生年金の場合、1940年生まれと2010年生まれの世代間格差は、実に5460万円から5940万円もあります。79頁

そして職業によっても不公平があります。

基礎年金制度は単なる財源支援のための仕組みであり、日本の年金制度が職業別に分立している状況は改善されていません。79頁

社労士さんから公務員さんの共済年金が恵まれているという話をよく聴くのですが、この話は案外知られていない話です。。

現在、厚生年金の保険料率(賃金やボーナスに対して支払う割合)は約16%であり、一般的に共済年金はそれよりもやや低く設定されています。一方、年金給付額は一般的に共済年金のほうが多くなっています。そのため、これまで厚生年金と共済年金を合併しようとする機会は何度かありましたが、相対的に豊かな共済年金が、厚生年金との合併を拒み続けてきたという歴史があります。22頁

巻末に自分の本当の年金額が分かるシートがあります。

厚生労働省は「将来世代でも2・3倍の得」といっていますが、それは間違いです。2・3倍という数値は、保険料負担を半分にしたり、利子率の代わりに賃金上昇率を使うなどして、確信犯的に生み出した欺瞞の数字です。

基礎年金の税方式化で、消費税が17%になるというのは嘘です。せいぜい8〜10%になるだけですし、代わりに保険料が引き下がるので、負担増になりません。150頁

これらの年金問題の解決手段として、現役世代から高齢者へ資金移動をする形である自転車操業的な「賦課方式」から自分の将来の年金を自分で積立てるという「積立方式」への移行への戦略と、財源としては得をしている現在の年金受給者から、相続税として徴収するという提案はとても合理的で不公平感がないと思いました。

本書での表現を借りると「現在の高齢者への利益供与」と「負担の将来へのツケ回し」である年金制度を変えていくには若い方が勉強をし選挙に行く。高齢者にも子供や孫世代のために理解をしていただくことは必要です。まずは本書で学び第一歩を踏み出したいです。